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診療コラム

Column

「親が大腸がん…私もなる?」遺伝を心配するあなたへ。本当に気にするべき“リスク因子”とは

「父親が大腸がんの手術をしたので、私も心配で…」 
「親戚にがんが多い家系なんです…」

診察室でこのようなご相談をいただくことが非常によくあります。 身近な方が大腸がんになると、「次は自分の番なのではないか」と不安になるのは当然のことです。
しかし、結論から言うと、「家族ががん=自分も必ずがんになる」わけではありません。
今回は、多くの患者様が気にされる「大腸がんの遺伝」について、本当に心配すべきポイント(若年発症)と、意外と見落としがちなリスク(他臓器のがん歴)について解説します。

ほとんどの大腸がんは「遺伝」ではない?

実は、すべての大腸がんの中で、明らかな「遺伝」が原因であるものは全体の約5%程度と言われています。 一部にまだ遺伝性が解明されていないものもありますが、少なくとも70%以上は生活習慣や加齢によって後天的に発生するものと考えられています。
つまり、ご家族が大腸がんになったとしても、それは遺伝的な要因というよりは、

  • 食生活が似ている(濃い味や肉が好き)
  • 生活環境が似ている(運動習慣の有無など)

といった、環境要因の共通点による影響が大きい場合が多いのです。 ですので、「親がなったから自分も絶対になる」と過度に怯える必要はありません。

気をつけるべきは「若くして発症した家族」がいる場合

では、どのような場合に「遺伝」を疑うべきなのでしょうか? 最大のキーワードは「年齢」です。
もし、ご家族や血縁者の中に、50歳未満(特に20代〜40代)という若さで大腸がんを発症された方がいる場合は、注意が必要です。

  • リンチ症候群
  • 家族性大腸腺腫症(FAP)

といった、遺伝性の病気が隠れている可能性があります。 逆に言うと、ご家族の発症が「70歳や80歳」といったご高齢であれば、それは一般的な加齢や生活習慣によるものである可能性が高く、遺伝的なリスクをそこまで強く心配する必要はありません。

【ポイント】 「家族にがんがいるか」だけでなく「何歳で発症したか」が重要な判断材料になります。

あなた自身が「他のがん」を治療したことがある場合

家族歴以上に気にしていただきたいのが、あなた自身の「他のがん」の治療歴です。
「昔、胃がんの手術をしたから、胃はもう大丈夫」 「乳がんの治療を終えて、今はホルモン療法中」
このように、他の臓器のがんを経験された方は、大腸がんのリスクも高い傾向にあります。

  • 理由1:体質的ななりやすさ(共通のリスク)
    喫煙、飲酒、肥満、糖尿病といった因子は、胃や肺だけでなく大腸にも悪影響を及ぼします。
  • 理由2:遺伝的な関連(重複がん)
    先ほど触れた「遺伝性」の体質(リンチ症候群など)は、大腸だけでなく、
    胃がん、子宮体がん、卵巣がん、尿路系のがんなども発症しやすい特徴があります。

「別のがんだから関係ない」と思わず、「一度がんを経験した体は、大腸のケアも必要」と考えて、ぜひ大腸カメラを受けてください。

大腸癌にならないためにはどうしたら良いですか?

大腸内視鏡検査にて大腸ポリープを切除された方の多くは、「今回のようなポリープにならないために、どのようなことに注意すれば良いですか?」と質問されます。
その対策の一つは、メタボリックシンドロームを避けるような行動と一致します。

  • 適度な運動
  • 適切な食生活で体型を維持する

これらはポリープの予防にも繋がります。そのほかにも飲酒や喫煙などもリスクになりますので、一般的にみなさんが「健康的」とイメージする生活と、大腸がん予防は一致すると思ってください。
ただ、実際にはその生活を完璧に続けることが一番難しいことも事実です。 また、どれだけ健康的な生活を過ごされている方でも、一定の割合でポリープはできてしまいます。
だからこそ、「定期的な大腸内視鏡検査を継続すること」が、最も確実に大腸がん予防に寄与することは間違いありません。

よくある質問(Q&A)

Q.親が80歳で大腸がんになりました。私も検査すべきですか?

A. ご高齢での発症は、遺伝よりも加齢や生活習慣の影響が大きいです。過度に遺伝を心配する必要はありませんが、あなた自身も40歳を超えているなら「年齢的なリスク」は高まっています。一度は検査を受けましょう。

Q.健康診断の「便潜血検査」で陰性なら安心ですか?

A. 実は、小さなポリープや早期がんは出血しないことが多く、便潜血検査では「異常なし」と出てしまうことがあります。「陰性=ポリープなし」ではないため、より確実な予防には大腸カメラが必須です。

Q.もしポリープが見つかったら、その場で取れますか?

A. はい。当院では、検査中に発見したポリープはその場で切除(日帰り手術)が可能です。「見つかったから、また別の日に手術に来てください」という手間はありませんのでご安心ください。

まとめ:40歳を超えたら、一度は「大腸カメラ」を

遺伝があろうとなかろうと、大腸がん・大腸ポリープができやすくなる最大の要因は「加齢」です。

  • 若年発症の家族歴がない方: 40歳を過ぎたら、症状がなくても一度検査を受けましょう。異常がなければ、次は数年後でも大丈夫です。
  • 若年発症の家族歴がある方・他のがん歴がある方: 30代など、早めの段階で一度ご相談ください。

「大腸がんは、予防できるがん」です。 大腸カメラで「ポリープ」のうちに見つけて切除してしまえば、将来そのポリープががんになる芽を摘むことができます。
「便秘も下痢もしていないし、お腹も痛くない。自分にはポリープなんてないと思っていた」
しかし、実際にカメラを入れてみると、数個のポリープが見つかり、その場で切除する…というケースはよくあることです。 ポリープは、大きくなったり出血しない限り自覚症状が全くありません。
「症状がないから大丈夫」ではなく、 「症状がないうちに、ポリープがないか確認しておこう」 という意識に変えることが、あなた自身の命を守ることにつながります。
当院では、鎮静剤を使った「眠っている間に終わるような内視鏡検査」を行っています。
 「遺伝が心配」「がんの経験がある」という方は、一人で悩まず、まずはお気軽に検査をご相談ください。

「もしかして?」という不安を、安心に変えるために。

 

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