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過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は、明確な構造異常や炎症が認められないにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘といった腸の不快な症状が慢性的に続く状態を指します。腸そのものには大きな病変がないため、見た目には「健康な腸」と診断されがちですが、日常生活に影響を及ぼすことも多く、患者さんにとっては深刻な問題となります。
発症の背景には、腸の運動機能の乱れ、知覚過敏、ストレス、腸内細菌の変化などが複雑に関与していると考えられており、単なる「心因性」や「体質」の問題ではなく、れっきとした医療対応が必要な疾患です。
この疾患で特徴的なのは、腹部の違和感と便通異常が長期にわたって繰り返されるという点です。腹痛や腹部の張りを感じることが多く、排便によって一時的に症状が軽くなることもあります。また、症状の現れ方には個人差があり、いくつかのタイプに分類されます。
代表的なものに、下痢型、便秘型、混合型(下痢と便秘が交互に起こるタイプ)があります。いずれのタイプも、「食後すぐにトイレに駆け込む」「緊張するとお腹が痛くなる」など、日常生活や社会活動に支障をきたすことが少なくありません。
また、排便後もすっきりしない残便感や、ストレスの多い時期に症状が強くなるといった傾向も特徴の一つです。
IBSの診断は、まず器質的な疾患(大腸がんや炎症性腸疾患など)を除外することから始まります。そのため、内視鏡検査や血液検査、腹部超音波などを用いて、他の疾患の可能性がないかを確認します。
明確な炎症や腫瘍が認められず、一定期間以上にわたり腹部症状が続いている場合、「ローマ基準」という国際的な診断基準に照らしてIBSと診断されます。この基準では、過去3か月間に週に少なくとも1日以上の腹痛があり、それが排便と関連していることや便の形状や回数の変化を伴っていることなどが要件となります。
また、心理的要因の関与が強く疑われる場合には、不安やうつなどの評価もあわせて行うことがあります。
過敏性腸症候群の治療は、症状のタイプや重症度、生活背景に応じて複数のアプローチを組み合わせることが基本です。まず重要なのは、患者さん自身が病気の性質を理解し、不安を和らげることです。それだけでも症状が緩和されることがあります。
症状が強い場合には、薬物療法が行われます。下痢が中心の場合は腸の動きを抑える薬、便秘が主な症状であれば腸を刺激する下剤や便を柔らかくする薬が使われます。また、腹部の痛みやガスが強い方には、腸の知覚過敏を軽減するための抗コリン薬や漢方薬、さらには脳と腸のバランスを整える抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあります。腸内環境を整えるためのプロバイオティクスは有用とされている。
加えて、食事と生活習慣の見直しも重要です。特に、FODMAPと呼ばれる一部の発酵性糖質の制限が効果的とされ、近年では低FODMAP食の指導が注目されています。コーヒーやアルコール、脂質の多い食品など、症状を悪化させやすい食べ物の摂取も見直す必要があります。
過敏性腸症候群と診断された中にも、ストレス、アレルギー、胆汁酸、腸管細菌叢など様々な介入手段があり、治療経験豊富な医師に相談することが望ましいと考えられる。
過敏性腸症候群は、命にかかわる疾患ではありませんが、再発しやすく、長期間にわたって症状が続く傾向があるため、継続的なフォローが不可欠です。
治療により一時的に改善しても、ストレスが高まったり、生活が不規則になると症状が再燃することがあります。そのため、医師と継続的なコミュニケーションをとりながら、症状の変化に応じて治療内容を柔軟に調整することが大切です。
また、症状の背景に不安や抑うつといった心理的要素がある場合には、心理療法(認知行動療法など)が効果を発揮することもあります。腸の調子を整えるだけでなく、心の健康にも目を向けることが、長期的な安定につながります。
追加情報
・有病率は人口全体の10%の方が悩んでおられる病態であるが皆さんが心因性と考えまだまだ受診に辿り着いていない現状がある。
・感染性腸炎後の方の薬10%に過敏性腸症候群を発症すると報告されている。また腸炎後の2、3年は発症リスクが高いと言われている。
・IBSのかたがストレス負荷時には大腸運動・大腸平滑筋電図が亢進することは証明されており、科学的にも腸と脳が機能的な関連をもつ腸脳相関は証明されている。
・運動療法が改善に寄与することも証明されている。
・栄養療法では食物繊維の摂取も推奨されている。