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診療コラム

Column

健康診断で「胃底腺ポリープ」と言われたら?がん化のリスクと「綺麗な胃」のサインである理由

「先生、健康診断の結果に『胃底腺ポリープ』と書かれていました。これって、がんですか?手術で切らないといけないのでしょうか…」

秋から冬にかけての健康診断シーズン後、診察室にこのようなご不安を抱えて来院される患者様が数多くいらっしゃいます。「ポリープ=がんの卵」というイメージをお持ちの方も多いため、心配になるお気持ちはよく分かります。

結論から申し上げますと、慌てて心配する必要はありません。 実は「胃底腺ポリープ」は、がん化するリスクが極めて低く、むしろ「ピロリ菌がいない、綺麗な胃」であることの証明とも言えるポリープなのです。

今回は、この胃底腺ポリープの正体や原因、他の危険なポリープとの違いについて、消化器専門医が詳しく解説します。

ポリープとは

そもそもポリープとはできものの総称であり、この中にはずーと良性の良性腫瘍、いつか悪性になる良性腫瘍、今すでに悪性の悪性腫瘍、いずれもをひっくるめてポリープと呼んでいます。

胃底腺ポリープとは?どんな見た目をしているの?

胃底腺ポリープは、胃にできるポリープの中で最も発生頻度が高いものです。 胃酸を分泌する「胃底腺」という組織の一部が、風船のように少し膨らんでできるもので、医学的には良性の腫瘍(非腫瘍性病変)に分類されます。

胃底腺ポリープの特徴

  • 大きさ: 2〜3mm程度の小さなものがほとんどで、大きくても1cm未満です。
  • 色と形: 周りの正常な胃粘膜と同じようなツヤツヤした色調をしており、なだらかなドーム状の形をしています。
  • 数: 1個だけポツンとできることもあれば、数個〜数十個と多発することもあります。(数が多いからといって悪性度が高まるわけではありません)

なぜ「綺麗な胃のサイン」と言えるのか?

このポリープの最大の特徴は、「ピロリ菌に感染していない、胃炎のない健康な胃粘膜にできやすい」ということです。

胃がんの99%は、ピロリ菌感染による慢性的な炎症(萎縮性胃炎)が背景にあると言われています。しかし、胃底腺ポリープはピロリ菌が住み着けないような、炎症のない若々しい胃粘膜に好んで発生します。 そのため、私たち消化器内科医は、胃カメラで胃底腺ポリープを見つけると、「あ、この方はピロリ菌感染の可能性が低く、胃がんのリスクが低い状態だな」と判断する一つの目安としています。

他のポリープ(過形成性ポリープ・胃腺腫)との決定的な違い

「ポリープ」と一口に言っても、胃にできるものにはいくつか種類があり、それぞれリスクが異なります。ここが非常に重要なポイントです。

胃底腺ポリープ(リスク:極めて低)

前述の通り、ピロリ菌がいない胃にできやすく、がん化することはほぼありません。原則として放置で問題ありません。

過形成性(かけいせい)ポリープ(リスク:中)

ピロリ菌感染による強い炎症がある胃にできやすい赤いポリープです。出血して貧血の原因になったり、大きくなるとまれに一部ががん化したりすることがあるため、ピロリ菌の除菌や、場合によっては切除が必要です。

胃腺腫(いせんしゅ)(リスク:高)

高齢者や萎縮性胃炎が進んだ胃に見られる、白っぽい平べったい腫瘍です。これは「がんの一歩手前(前がん病変)」と考えられており、高い確率でがん化するため、内視鏡での切除が強く推奨されます。

健康診断のバリウム検査(胃X線検査)では、「胃にポリープの影がある」ことまでは分かりますが、それがこの3つのうちどれなのか、色や微細な表面構造を見ることはできません。

逆流性食道炎のお薬(PPI)との関係

もともとの体質や加齢によってできることも多い胃底腺ポリープですが、近年増えているもう一つの原因が「胃酸を強力に抑えるお薬(プロトンポンプ阻害薬=PPIなど)」の長期服用です。

逆流性食道炎などの治療でこれらのお薬を長期間飲んでいると、胃酸の分泌が抑えられる反面、身体が「もっと胃酸を出さなきゃ」と反応してガストリンというホルモンを過剰に出すようになり、結果として胃底腺が刺激されてポリープができやすくなります。

この場合も、悪性化する心配は基本的にありません。自己判断でお薬を中断すると逆流性食道炎が悪化するリスクがあるため、必ず主治医の指示に従ってください。

「良性だから安心」を確定させるために

健康診断で「胃底腺ポリープの疑い」「ポリープあり」と指摘された場合、それは「一度、胃カメラで直接観察し、他の危険なポリープや早期の胃がんが隠れていないか白黒はっきりさせましょう」という身体からのサインです。

万が一、胃底腺ポリープであっても「サイズが1cm以上と異常に大きい」「形がいびつで表面が赤い」といった通常とは異なる所見があれば、念のためポリープの一部を米粒ほど採取し、顕微鏡で細胞の悪性度を調べる検査(生検)を行うこともあります。

当院では、お一人おひとりの健診結果やお話をしっかり伺い、本当に必要な検査やアプローチを誠実にご提案いたします。「消化器内科に行ったらすぐカメラをされるのでは」と身構える必要はありません。 胃カメラを行う場合も、ウトウトと眠っている間に終わる「鎮静剤」を使用し、内視鏡専門医が苦痛を最小限に抑えた精密な検査を行います。

「がんかもしれない」という不安を抱えたまま過ごすのは、心にも身体にも良くありません。本当に安心できる「綺麗な胃」であることを一緒に確認しましょう。

よくある質問(Q&A)

Q. 胃底腺ポリープは、自然に消えることはありますか? 

  1. 胃酸を抑えるお薬(PPIなど)の影響でできたポリープの場合は、お薬を中止したり変更したりすることで小さく縮んだり、消えたりすることがあります。しかし、体質やピロリ菌未感染によるものはそのまま残り続けることが多いです。良性ですので、無理に消す必要はありません。

Q. 放っておくのは気持ち悪いので、「念のため取ってほしい」とお願いすれば切除してもらえますか?

  1. 胃底腺ポリープはがん化のリスクが極めて低いため、ガイドライン上も原則として切除の対象にはなりません。むやみに切除すると出血などの合併症リスクを伴うため、サイズが極端に大きい(1cm以上など)といった特段の理由がない限り、当院では安全を第一に考え「そのままにしておく(経過観察)」ことをお勧めしています。

Q. 胃底腺ポリープがあると診断されたら、毎年胃カメラを受けないといけないのでしょうか?

  1. 一度胃カメラで「ピロリ菌がいない綺麗な胃の、典型的な胃底腺ポリープである」と確定できれば、胃がんのリスクは低いため、必ずしも毎年検査を受ける必要はありません。ただし、年齢やその他のリスク因子に応じて、2〜3年に一度など、適切なチェックのタイミングをご提案いたします。

Q. 健康診断で引っかかった場合、胃カメラの費用はどれくらいかかりますか?

  1. 健康診断で「要精密検査」となった場合、保険診療(3割負担)の対象となります。観察のみであれば約4,000円〜5,000円程度です。念のためポリープの一部をつまんで細胞を調べる検査(生検)を追加した場合は、約10,000円前後となります。

Q. 胃底腺ポリープがあると、胃もたれなどの自覚症状は出ますか?

  1. 胃底腺ポリープそのものが原因で、胃痛や胃もたれ、胸焼けなどの症状が出ることはほぼありません。もし何らかの不調を感じている場合は、ポリープのせいではなく、逆流性食道炎など別の疾患が隠れている可能性がありますので、我慢せずに一度診察にお越しください。

Q. 鎮静剤(眠る麻酔)を使って胃カメラを受けたら、車で帰ることはできますか?

  1. いいえ、鎮静剤を使用した場合、安全上の理由から検査当日は終日、ご自身での運転(車・バイク・自転車)が禁止となります。当院はJR南草津駅から徒歩4分と駅チカでアクセスが良いため、公共交通機関をご利用いただくか、ご家族による送迎(専用駐車場11台完備)でのご来院をお願いいたします。

まとめ:不安な結果も、放置せずに「安心」へ変えましょう

「ポリープ」という言葉の響きは、どうしてもがんのような怖いイメージを連想させてしまいます。しかし、今回お話ししたように、胃底腺ポリープは正しく評価さえすれば、決して恐れるものではありません。

健康診断(バリウム検査など)で指摘された時点では、あくまで「疑い」に過ぎません。胃カメラでしっかりと直接観察し、「良性で綺麗な胃のサインですね」と確定できれば、その日からの生活をずっと安心して送ることができます。

当院は、検査を無理強いする場所ではありません。健康診断の結果を見て「これってどういう意味だろう?」「本当に大丈夫かな?」と迷った時に、一番に頼っていただけるクリニックでありたいと考えています。

お手元の結果用紙を持って、どうぞリラックスしたお気持ちで当院にご相談ください。皆様の「おなかの安心」を、専門医とスタッフがしっかりとサポートいたします。

 

南草津おなかと胃大腸カメラのクリニック 〒525-0050 滋賀県草津市南草津2丁目3-11 JR南草津駅より徒歩4分/土日診療あり/駐車場11台完備

 

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