2026.09.01
【消化器内科専門医が解説】急なお腹の痛み(急性腹症)の原因は?救急車を呼ぶべき危険なサインと当院でできる迅速な検査について(CT・エコー)

突然、お腹に激しい痛みを感じたとき、「少し休めば治るだろう」「とりあえず市販の胃薬や痛み止めを飲んでおこう」と自己判断してしまう方は少なくありません。
しかし、「急激に発症した強い腹痛(急性腹症)」の背後には、放置すると命に関わる重大な病気が隠れていることがあります。まずは結論からお伝えします。
急な腹痛には、虫垂炎や胆石、アニサキスなど様々な原因がありますが、中には一刻を争う「危険なサイン(レッドフラッグ)」が隠れている場合があります。 冷や汗が出るほどの激痛や、意識が遠のくような症状があれば、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
一方で、危険なサインには当てはまらないものの、「いつもと違う強い痛みがある」「痛みが徐々に増している」といった場合は、自己判断で放置したりせず、CT検査やエコー検査で迅速に原因を特定できる消化器専門のクリニックを速やかに受診することが重要です。
この記事では、消化器内科専門医が「急な腹痛で考えられる代表的な病気」を解説し、その上で「救急車を呼ぶべき危険なサイン」と、「当院で行う迅速な検査・トリアージの役割」について詳しく解説します。
急な腹痛を引き起こす代表的な疾患(痛む場所と特徴)
急激な腹痛(急性腹症)を引き起こす病気は多岐にわたります。痛む場所や症状の出方によって、ある程度原因となる疾患を推測することが可能です。ここでは、代表的な病気とその特徴を解説します。
① 虫垂炎(いわゆる盲腸)
- 痛みの特徴: 初期は「みぞおち」や「おへその周り」が痛み、吐き気を伴うことがあります。その後、数時間から半日程度かけて、痛みが徐々に「右下腹部」へと移動していくのが典型的な特徴です。歩いたり、響かせたりするとお腹に強い痛みが出ます。
② 胆石症・急性胆嚢炎(たんのうえん)
- 痛みの特徴: 「右上の腹部(右の肋骨の下あたり)」から「右の背中」にかけて、差し込むような強い痛みが出ます。脂っこい食事を摂った数時間後や、夜間に発症しやすい傾向があります。熱が出ることもあります。
③ 急性膵炎(すいえん)
- 痛みの特徴: 「みぞおち」から「背中」にかけて突き抜けるような、持続する激しい痛みが特徴です。身体を前かがみに丸めると少し痛みが和らぐ傾向があります。アルコールの多飲や、胆石が膵管に詰まることが主な原因となります。
④ 大腸憩室炎(けいしつえん)
- 痛みの特徴: 大腸の壁の一部が袋状に飛び出た部分(憩室)に便が溜まり、細菌感染を起こす病気です。憩室がある場所(主に右下腹部、または左下腹部)に局所的な強い痛みが生じ、多くは発熱を伴います。
⑤ 胃アニサキス症・急性胃炎
- 痛みの特徴: 「みぞおち」を中心とした激痛や嘔吐が起こります。サバ、イカ、アジ、サンマなどの生魚(お刺身や寿司)を食べた数時間後〜半日後に痛みが始まった場合は、アニサキス症が強く疑われます。胃カメラで本体を取り除くとすぐに改善します。
要注意!「救急車(119番)を呼ぶべき」超緊急疾患と危険なサイン
ここまで代表的な病気を挙げましたが、急な腹痛の中には、クリニックの受診を待たず、今すぐ救命救急センターでの処置が必要な「超緊急疾患」が含まれています。 以下の疾患が疑われる「危険なサイン(レッドフラッグ)」が見られる場合は、ご自身で車を運転して病院へ向かうのは大変危険です。迷わず救急車を要請してください。
【超緊急疾患①】大動脈解離・大動脈瘤破裂
- 痛む場所と特徴: 消化器の病気ではありませんが、お腹の激痛として自覚されることがある極めて危険な血管の病気です。背中、腰、お腹にかけて痛む場所が移動していくのが特徴です。
- 危険なサイン: 突然の「バットで殴られたような」「引き裂かれるような」激痛。冷や汗が止まらない、意識が遠のく(ショック状態)
【超緊急疾患②】消化管穿孔(胃や腸に穴が空く)・重症腹膜炎
- 痛む場所と特徴: 進行した胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸憩室炎などが原因で臓器に穴が空き、胃酸や便がお腹の中に漏れ出して全体に炎症(腹膜炎)が広がった状態です。
- 危険なサイン: お腹全体に動けなくなるほどの激痛が走る。お腹が板のようにカチカチに硬くなる(板状硬)。少しでも歩いたり響かせたりすると激痛が走る。
【超緊急疾患③】消化管からの大出血(重症の胃潰瘍・十二指腸潰瘍など)
- 痛む場所と特徴: みぞおちなどの強い痛みに加え、胃や腸の粘膜の深い部分の血管が破綻し、大量に出血している状態です。
- 危険なサイン: 大量の吐血(赤い血やコーヒー残渣のような嘔吐物)や、大量の血便(赤黒い便)が出る。血圧が下がり、顔面蒼白やめまいを伴う。
急な腹痛に対する当院の「トリアージ」と「迅速検査」の役割
上記のような「危険なサイン」はないものの、強い腹痛がある場合、厄介なのは「痛みの場所や症状だけでは、正確な原因を特定しきれない」ことにあります。たとえば、右下腹部が痛い場合、虫垂炎なのか、憩室炎なのか、あるいは女性であれば婦人科系の疾患なのかを見極める必要があります。
南草津おなかと胃大腸カメラのクリニックでは、充実した検査設備を活用し、痛みの原因を素早く特定(確定診断)し、適切な治療方針を決定する「トリアージ」の役割を担っています。
■ CT検査・腹部エコー検査による迅速な原因究明
当院には、精密な画像診断が可能なCT機器と超音波(エコー)検査装置を完備しています。「ただの胃腸炎」なのか、「手術や入院が必要な虫垂炎・憩室炎・胆嚢炎」なのかを、院内で迅速に見極めます。特にCT検査は、腸の腫れ具合や、お腹の中に炎症が波及していないか(腹水や遊離ガスの有無)を客観的かつ広範囲に評価できるため、急性腹症の診断において非常に強力な武器となります。
■ 胃アニサキス症への即日対応(胃カメラ)
問診やエコー検査等で胃アニサキス症が強く疑われる場合、当院では苦痛の少ない胃カメラ(内視鏡検査)を用いて胃の中を直接観察します。アニサキスを発見した場合は、その場で専用の鉗子(かんし)を用いて摘出を行います。原因となっている寄生虫を取り除くことで、多くの場合、速やかな痛みの軽減が期待できます。
■ 高度医療機関へのスムーズな連携
検査の結果、緊急手術や入院治療が必要(進行した虫垂炎、重症の胆嚢炎や膵炎など)と判断した場合は、速やかに適切な連携病院(高度医療機関)へご紹介いたします。当院で「CT画像などの正確な診断データ」を添えてご紹介することで、搬送先の病院でもスムーズに治療を開始することが可能となり、治療の遅れを防ぎます。
よくある質問(Q&A)
Q.お腹が痛いとき、市販の痛み止めを飲んで様子を見てもいいですか?
A.急な激しい腹痛の場合、自己判断での痛み止めの服用は推奨しません。薬によって痛みが一時的に和らいでしまうことで、「盲腸が破裂寸前になっている」などの重大な病気のサイン(症状)を隠してしまい、手遅れになる危険性があるためです。
Q. 痛いときは、食事や水分をとってもいいですか?
A.いいえ、急な強い腹痛があるときは「絶飲絶食(水も食事も摂らない)」の状態で受診してください。万が一、消化管に穴が空いていた場合に腹膜炎を悪化させたり、緊急手術や胃カメラ検査が必要になった際に、胃の中に食べ物が入っていると処置ができなくなったりするためです。
Q. お腹のどこが痛いか上手く説明できないのですが、消化器内科を受診してもよいですか?
A.はい、まずは消化器内科をご受診ください。お腹の痛みは胃、腸、肝臓、胆のう、膵臓など様々な臓器が原因となるため、それらを専門的に診断できる消化器内科での初期評価が非常に重要です。当院ではCT・エコーを活用し、必要に応じて婦人科疾患や泌尿器科疾患(尿管結石など)の可能性も視野に入れて総合的に診断し、最適な診療科へお繋ぎすることも可能です。
Q. 昨日お刺身を食べてから胃が激しく痛みます。今日すぐに胃カメラをしてアニサキスを取ってもらえますか?
A.アニサキス症が強く疑われる激しい腹痛の場合、当院では可能な限り「即日の緊急胃カメラ」で対応し、その場で摘出を行っております。処置のためには胃の中が空になっている必要があるため、食事は摂らずに、まずは朝一番にお電話でご相談ください。(水分については脱水を防ぐため、摂っていただいて構いません。牛乳などの乳製品は避けてください。)
Q. 夜間や休日に急にお腹が痛くなった場合は、翌日まで我慢した方がいいですか?
A.決して我慢しないでください。本記事で挙げた「危険なサイン(冷や汗、意識低下など)」がある場合や、痛みが我慢できないほど激しい場合は、夜間・休日問わず、すぐに救急外来を受診するか119番通報をしてください。
まとめ:急な腹痛は身体からのSOS。迅速な検査で正しい診断を
「急激なお腹の痛み」は、身体が発している重大なSOSサインです。 まずは原因となる疾患の可能性を知り、冷静に「救急車を呼ぶべき危険なサイン」がないかを確認してください。もしそれに当てはまらなくても、「我慢できないほどの痛みではないが不安」「徐々に痛みが強くなっている」といった場合は、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
当院では、消化器内科専門医としての知見と、CT・エコー・胃カメラといった充実した検査設備を活かし、「重大な病気が隠れていないか」を迅速かつ正確に診断いたします。急な腹痛でお困りの際は、お電話またはWeb予約にてご相談ください。
※「急な激しい痛み」がある場合は、Web予約前にまずお電話にてご相談ください。症状によっては、直接救急病院の受診をお願いする場合がございます。

